横溝正史展
中学生の頃、横溝正史の小説が大好きだった。
あのおどろおどろしいイラストのついた黒い縁の角川文庫。
ずらりと持っていて、買うたびに裏表紙に水色の万年筆で自分
の名前を書いていた。
引越しを重ねるうちに今はもう一冊も残ってないけど。
芸術的な殺し方に血の因縁。
とぼけた探偵に名推理。
そりゃあもうワクワクしたもんです。
今朝の新聞に二松学舎大学で横溝正史の生原稿や遺品を展示していると
知って、会議前のひととき雨の九段下へ。
オフィスビルみたいなキャンパスの奥まった一角にある資料展示室。
意外にも客は私ひとり。
几帳面な字で書かれた貴重な生原稿の数々。
あの名シーンがこんなふうに書かれていたのね~と感慨深い。
昔はワープロなんか使わずに矢印で引っ張って書き込みしたり
原稿用紙を切り貼りしたり。
それでも全く修正した痕跡のないページもあって、
書き出す時にはもう文章が頭の中で完璧にできていたのだろうな
というのが窺える。
金田一シリーズの映画のポスターやら台本やらもたくさんあって楽しい。
映画の脚本によく名前のある久里子亭が市川崑監督のペンネームだった
とかってそういえば昔聞いたことがあったなあと思い出す。
クリスティの大ファンだったそうで。
江戸川乱歩がその才能に惚れ込んで19歳の横溝を東京に呼び寄せた
とか、乱歩が死んだ時にはその遺体にすがって「なんで死んだんだ!」
と泣いたとか、貴重なエピソードも知る事ができた。
陰惨な殺人事件にどうしてあんなにドキドキわくわくしたのか。
それは今でもちっとも変わらないのだけれど。
お化け屋敷に踏み込むように、あれもまた一種の夢の世界だったの
かもしれない。
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