一龍斎貞水 立体怪談
先日の日記にもちょっと書きましたが、毎年恒例の夏舞台、一龍斎貞水さんの講談を聞きにいってきました。
今年は、前座が落語家の春風亭柏枝さん。
そして、講談は「立体怪談~江島家騒動~」。
ストーリーとしてはきわめてシンプル。
江島屋の番頭が今でいう千葉の田舎へ商いで行った時、雪に降られて一軒の家で一夜の宿を請うと、そこには痩せこけた老婆が一人住んでいて、夜中になると、何やらブツブツ言いながら、婚礼衣装らしき布を火にくべ、藁人形に五寸釘を打っている。
わけを聞けば、娘が1カ月ほど前、利根川に身を投げて死んだという。それも婚礼の日に。
庄屋に見初められ、嫁ぐことになったものの、貧しい家なので満足な婚礼衣装が買えず江戸の古着屋で買い求めたが、それは火災でいぶされた土蔵にしまわれていたものを安く買いたたき、糊づけして新品に見せかけたものだった。
あいにく婚礼の道中、雨が降り花嫁はびしょ濡れになってしまった。
すっかりショウが抜けた(これって樟か?性?)衣装はまさに婚礼の宴の席で腰から下の部分がすっぽりと落ちてしまったのだった。
娘は恥ずかしさのあまり、家を飛び出し、そのまま川に身を投げた。
やれ憎らしや、悪徳商売人、ということで、衣装を売りつけた古着屋を呪いつつ、緩慢な死を待っている母。
「もし、その商家はなんという……?」
「江島屋でございます」
というわけで、まさに「それってウチじゃん」と慌てた番頭。
江戸に帰ったものの、恐ろしくて主人に話せず。
が、1年後、再び悪徳商法で使おうと衣装をこっそり運び出そうとした雨の夜、番頭は狂って主人の眼を火箸で突き刺したのだった……あの母親の藁人形のように。
てなお話し。
去年やその前に比べると話がシンプルなのだけど、舞台はいつもより凝っていたようだ。
立体怪談というのは、高座にかなり飾り込みがあり、最後はお弟子さんの幽霊が舞台から客席に降りてきてキャ~という趣向。
で、貞水さん。今年50周年を迎える大ベテラン。
12月にはジャズダンスとのコラボレーションの舞台もあるし、その前にはヨーロッパ公演まで控えているという。
今年はガンの手術をされたばかりだというのに、声に張りがあるし、それになにより「色気」がある。
私は3列目の真ん中だったので、まさに目が合う状態で話されていて、正直ドキドキしてしまった。
「男は知性」というのが私の信条なので、年齢に関係なく、ああいいな~とポッとしてしまった(*^o^*)
12月の舞台が楽しみ。
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コメント
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「男は知性」&「色気」に一票。
投稿: かじこ | 2005/09/07 12:59
>かじこちゃん
一票ありがとう(笑)
ワタシ、知性とイロケさえあれば、スキンヘッド(貞水さん)だろうが金髪ロンゲだろうが、痩せてようが太ってようが全然オッケーですの。
投稿: KEI | 2005/09/07 13:05
深い。
怪談モノの講談というのは日本独自の真骨頂ですね。
最近は噺家や講談師になろうという人が少ないですけれど、無くならないで欲しいですよね。
投稿: Kei | 2005/09/07 23:53
>Keiさん
本当ですよねえ。
今目指す人って減ってるんでしょうか。どうなんだろうなあ。
あのテンポ、あのリズム、本当に「技」だって思います。
それだけじゃなくて、本題に入る前の話なんか聞いてると、頭イイな~と感心しちゃいます。
話をナリワイにする人はセンスだな、と。
ちょっと話がそれましたが。
投稿: KEI | 2005/09/08 08:30