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2005/02/14

ソウルその2 恨(ハン)

_080ソウルは街を歩けばヨン様に当たる。免税店のポスターに公式ショップはおろかバッタもんのヨン様グッズが露店に並んでいる。中年女性の団体さんにも随分お目にかかった。あかすりエステは日本から来た女の子でいっぱいだ。
焼き肉にエステに韓流ドラマ。それらを求めて韓国にやってくる人たちの果たして何%がかつて日本がこの国の人たちに何をしたかちゃんと知っているのだろうか。

かく言う私も8年前に最初にソウルを訪れた時は歴史の記憶が曖昧だった。
ホテルやお店以外で出会う、例えば模範タクシー以外の一般のタクシーの運転手さんや街で出会った人から日本人だとわかった時に時々敵意を感じることに驚いた。
でも、それは当たり前なのだ。

韓国には「恨(ハン)」という言葉がある。
儒教精神と民族の誇りの高さは、自分たちに与えられた屈辱の歴史を決して忘れない。
例えば、広島の原爆ドームなどは、日本人から見れば、あの悲劇を風化させず、決して二度と戦争を起こさないために残している、という精神だ。
が、韓国の人たちから見れば、「あの恨みを末代まで忘れず、いつか必ず恨み晴らしてくれようぞ」という感覚なのだそうだ。
もちろんいわゆる「恨み」というだけではなく、どんな困難に出会おうともそれを運命として受け入れ、切り開いて生きていこうとする意思という意味もあるという。

1910年の日韓併合、その前からの大日本帝国による支配。あれは戦争の悲劇などという他動的なものではなく、確かに日本が意思を持って他国を“侵略”した歴史だ。
日本語を押しつけられ、創氏改名の時には自殺者も出たという。
今でも60代以上の人は流暢な日本語を話す。
若い人たちのそれは親日の気持ちからだったり、商売ゆえに身につけたものだけど、お年寄りは好きで習ったわけではないのだ。
今回もタクシーの中から新羅ホテルを見て、私が「あ。シンラホテル」とつぶやいたら、初老の運転手さんにすかさずかなりきつい調子で「シルラ!」と発音を直された。
それも歴史を知らなければ、「なによーちょっとくらいいいじゃん」と思うかもしれない。
でも、日本が何をしたかを知っていれば、その言い方のきつさの裏にある「恨」に思い至る。

韓流ブームで韓国大好きと言う人が増えるのはとてもいいことだと思う。
だけど、その前に歴史をちゃんと知るべきだ。
日本の社会科教育は近代史を教わる3学期になると、いつも駆け足で適当に済まされてしまう。
弥生時代や縄文時代より、もっともっとほんの100年前に何があったのかを知ることの方が大事なんじゃないのだろうか。
笑顔で受け入れてくれる相手の国の人たちの心の奥底に何があるのか、知ろうとすることは本当の友好に一番大切なことなのではないか。
無知は罪だと、私は思う。


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コメント

約18年前ですが戦争記念公園にロケに行ったとき
老人達に囲まれて怖かったです

20くらいのメイクさんが
なかなかうちとけてくれず
理由を聞いたら
学校で日本人は敵だと教わったからだそうです
もちろん親日のひとたちも
一杯いますけどね・・・・

>maruさま
18年くらい前にハタチの女性だと今30代ですよね。
その親くらいの世代、つまり彼女たちを教育
した世代の怒りが一番強いんだそうです。
「自分たちの親がひどい目に遭った」という
意識が強くて。
教育なんですよね。なにごとも。

最近は日韓共同の仕事が多くなってきて
ます。
お互いを知ろうとする努力は必要ですよね。

私も、学生時代に、韓国についての本を読んだとき、この「恨」という言葉が痛烈に印象に残ってます。20年近く前に大韓航空機に乗って
スチュワーデスに紅茶をスカートにこぼされ、
謝りもせずに無視されたのには驚きましたけど。

>えりりょんさん

「恨(ハン)」って日本語の「恨み」に直訳
しちゃうとちょっと違うらしいっス。
もうちょっと激しくて、もうちょっと深いという
のか、運命的なこともあるらしく。
儒教の精神なんでしょうね。

でも、スッチーなのに、お客に粗相して
ゴメンナサイもなしとは……!?
それも20年近く前だとアリなのかなあ。
結局は個人対個人だと思いますけどね。

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» 馴染めない感じ [Pax amor et lepos in iocando]
桂的工房〜KEI'S FACTORY〜さんにTB。韓国の文化に詳しくない(むしろ疎い)ので「恨」という概念がわからない。ネットで検索してみてもスッキリ理解できる... [続きを読む]

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